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スタッフ偏愛商品コラム vol.27

大地を守る会 スタッフ偏愛商品コラム

本当に美味しいのは、今からの季節ですよ

*****
今回の当番

農産担当
関根 由紀(せきね ゆき)

茨城と福島の県境で育ち、
今は西の端っこで一人暮らしをしています。

早くも花粉症の症状が出始め
焦っています…!
*****

みなさま、こんにちは!
大地を守る会の関根です。

今回私が紹介したいのはトマトです。

農産担当をしていて、
色々概念がひっくり返った話があるので
そのお話をご紹介しますね。

旬の話

トマトと聞くと夏のイメージが
強いのではないでしょうか。

夏が近づくにつれ、八百屋さんや
スーパーにも多く並んでいたり、
価格が安くなっていたりしますしね。

しかし!
おいしい時期はずばり今なんです。

実はトマトは高温多湿に弱く、
強い日差しと涼しい気温を好む野菜です。

それなのに夏が旬と言われているのは、
大きく2つ理由があって、

  1. 昔はハウス栽培などの技術がなかった
    ので、気候に合わせて種を撒くと
    丁度夏ごろが収穫期になっていたから。
  2. 気温が高いと生育スピードが早く、
    収穫量が増え大量に出回るから。

つまり「量の旬」でいえば
夏、なんですね。

しかし生育が早い=実が大きくなる
スピードも早いため、
味がのったり、糖度が上がったりする前に
収穫することになります。

そのため私の感覚でいうと夏のトマトは
水っぽい感じがします。

それに比べて今の時期のトマトは
冬から時間をかけて
じっくりと生長しているため、
糖度や味がのっていて
味が濃くおいしいのです。

そういうわけで「美味しさの旬」は、
夏よりも今と言えます。

ひとくちに旬って言っても
「量の旬」や「美味しさの旬」
(それに季節を先取りする初物も
旬って言いますね)、
色んな意味があるんだな~と
最近実感しています。

これらを意識して旬を味わうと
より楽しみ方が増えそうです!

「おいしい」って何だろう

そんな今がおいしいトマトですが、
「おいしいトマトってなんだろう?」と
農産担当になってから考えることが
多くなりました。

スーパーや一般市場では、
やたらと「おいしい」=「甘い」と
強調されているように感じます。

最近まで私もそうだと思っていました。

しかし大地を守る会の
生産者さんの話を聞いていると、
「甘みと酸味のバランス」という
言葉をよく使います。

毎日食べても飽きない美味しさ、
子どもたちにもいっぱい食べてほしい、
という思いで日々研究を重ね、
栽培しています。

確かに甘~い濃厚なトマトは、
初めこそ感動するのですが、
毎日食べていると飽きるというか、
もっと甘いものを…!と満足できなく
なってきてしまうんですよね。

でも大地を守る会のトマトは
毎週食べていますが、そんなことを
感じることはありません。

産地ごとに異なる甘みや
酸味のバランスはもちろん、
噛んだ時の食感、他の食材との相性、
口に含んだあとの匂い…など
おいしいなぁって感じるポイントは
甘みだけではない、ということを
発見させてくれます。

みなさんもぜひそういう発見や、違いを
愉しみながら食していただきたいです。

いうなれば高級フレンチではなく、
ぬか漬けとお味噌汁、みたいな。

ガツン!と衝撃的なうまさというより、
いつ食べても安心させてくれて
結局戻ってきちゃう、
そのときにおいしいなぁと気付く。

大地を守る会のトマトは、
そんなトマトです。

素敵な生産者さん

生産者さん全員がもれなく味があって
素敵な人ばかりなのですが、
今回はその中でも
高生連のヴェリタス井口賀夫さん
(徳島県 美馬市)の紹介をさせてください。

井口さんはまだまだお若い方なのですが、
地域でもかなり信頼の厚い生産者さんです。

システム技術を上手に活用し、
かなり緻密にコントロールをしながら
栽培されています。

トマトを育てるのは
人間を育てるのと非常に似ていて、
甘やかす時期と厳しくすべき時期があり、
それが味に正直に反映されやすいのです。

そのため、見極めや手間暇が
かなりかかる作物です。

また他の作物と違って、
上に伸びる成長度と、太ったり
蓄えたりする成熟度が同時に起きるので、
バランスを見ていくのが
栽培者の技量になります。

井口さんが栽培しているハウス内は
自動装置が設置されており、
温度や二酸化炭素、水分量などを計測し、
その数値によってハウスの屋根が
自動開閉したり、二酸化炭素を調整する
システムがあったりします。

しかし全てを機械に任せっぱなし
なのではなく、毎週、茎の太さや
何センチ伸びたかなどを手作業で記録し、
井口さん自身の目で
今何を欲しているのかを見極めながら
コントロールしています。

根っこの様子もこうして、
虫かごを埋め込んで観察してできる工夫も。

実際に訪問させていただいたときも、
まるで畑のコックさんのように、
「こっちのトマトは今大きくしている
途中だから酸味が強い」とか、
「こっちのは水分量を絞っているから
旨味が少しのってきている」とか
説明通りに味に現れていて
感動したのを覚えています。

昔ながらの伝統的な栽培方法も、
最新の技術も上手に取り入れる井口さん。

さぞかし小さい頃から色んな畑を
見ていたのだろうと思いきや、
ご実家は農家でなく、井口さん自身も
建設や介護など様々な経歴を経て
いまにたどり着いたんだそうです。
(介護時代に隣の施設が農場だったのが
きっかけだとか)

だからこそ思い込みにとらわれず、
色んな視点で挑戦できるのかもしれません。

食べてくれる方が
愉しんでくれることはもちろん、
持続可能な栽培や環境のことなど、
「共存」という視点を
常にもっていらっしゃる方で、
ハウス内の加温もできる限り抑えたり、
二酸化炭素の循環を大事にしたり、
「食のあるべき姿」というのを
常に追及しながら歩んでいます。

話を聞いていると思わず
涙が出そうになるくらい、
熱い思いをお持ちで
私も一緒に頑張りたい!と
鼓舞される本当に素敵な方です。

どの産地のトマトが届くのかは
お楽しみですが、このように
本当に素敵で人間味がある方がつくる
ミニトマト・トマトです。

新しい発見を楽しみながら、
味わってみてください♪

おすすめの食べ方

夏の野菜と言われているだけあって、
体を冷やす野菜ですので、
今の時期はぜひ煮込み料理など
火を通してからお楽しみください。

  • 少し多めの油でたまごを炒ってから、
    ミニトマトを投入し、シンプルにお塩で。
    (エリンギ入れてもおいしいです)
  • お好みの味のスープを煮立たせ、
    ミニトマトとお好みの野菜(アスパラや
    玉ねぎなど)を入れれば簡単に
    カラフルスープに。