5月はフェアトレード月間です。大地を守る会はフェアトレード商品を取り扱うきっかけとなったオルター・トレード・ジャパン(以下ATJ)を通じて、生産者と顔と顔の見える関係作りを続けています。ATJの活動を通して、今改めてフェアトレードの大切さを考えます。

支援として必要なのは
魚ではなく、魚を獲る網

ATJ 設立のきっかけは、1980年代前半に起きた砂糖の国際価格の暴落に遡ります。フィリピン・ネグロス島では、大規模農園主が砂糖の生産を休止したため、 現地の農園労働者は仕事を失い、深刻な飢餓が発生しました。住民の窮状に心を痛めた日本の市民団体が援助の手を差し伸べますが、現地の人が訴えたのは「自分たちに必要なのは魚ではなく魚を獲る網」。一時的な支援ではなく、人々が自立できる支援が必要との求めでした。

零細農家を応援するバナナはフェアトレードの“顔”。

持続可能な農業生産を
応援する「民衆交易」

その背景にあったのは、それまで続いていた低賃金で働く労働者と一握りの大規模農園主という社会構造。このいびつな構造を変えて自営農民として自立できるようサポートするとともに、生産物を継続的に輸入し、持続可能な農業生産をサポートしていく「民衆交易」の考えが生まれました。こうした状況のもと、1989年、貿易会社、ATJが設立されました。

自然に近い「粗放養殖」でのびのび育つエコシュリンプ。

開発途上国の農家を支援する
「互恵のためのアジア民衆基金」

大地を守る会でのフェアトレード商品の取り扱いは1999年からですが、 1994年には同社に出資し、2009年にはアジアの農家たちを支援する基金「互恵のためのアジア民衆基金」を創設。ATJや他の生協とも一緒に開発途上の国々の農家を支援する活動を行っています。大地を守る会ではATJのバナナやエコシュリンプの売り上げの一部を同基金に積み立てています。

パレスチナ自治区や東ティモールの人々の自立を応援しています。