大地を守る会で取り扱っている酢は、伝統的な醸造方法で造ったものです。効率よりもおいしさ、価格よりも安心に価値を置いています。
今回は、大地を守る会独自の顔の見える関係を築き、長年愛されている飯尾醸造の酢をご紹介します。

富士酢の生産者飯尾醸造の皆さん。

長いときをかけ
いい米から造るうまみ豊かな酢

京都の北、若狭湾に面した宮津で、1893年より酢を造る飯尾醸造。
原料に使用する米へのこだわりは、農薬に頼らず栽培した米はもちろん、「いい酢はいい米から」と、棚田で独自に栽培した米も使うほどです。
そんな厳選した米を醸し、まず造るのはうまみたっぷりの酢のもととなる「酢もともろみ(酒)」。この工程は日本酒造りと同じです。

厳選した米を蒸し、麹菌をまぶしたあと、かたまった米粒に何度も手を入れてほぐし良質な麹を造ります。

継ぎ足され、蔵の菌が育み続けて
醸し出す富士酢独自のうまみ

原料となる日本酒ができたら、さらにタンクでじっくり寝かせ、アルコール分が酢酸発酵して酢ができます。
このとき、空気を人工的に送り込む、「全面発酵」であれば酢は1~2日でできますが、飯尾醸造における酢造りは「静置発酵」。1年以上かかります。120年以上も蔵に住み着く酢酸菌が、「酢もともろみ」の表面からゆっくり、ゆっくりと、酒を酢に変化させていくのです。
さらに、すでに酢として完成している種酢も加えます。その量はなんと全体の1/3。継ぎ足されながら、創業時からの味が守られています。

タンク表面の酢酸菌がアルコール分を酢に変える静置発酵。

酢に使っている米の量も違います

日本農林規格で、「米酢」と表示できると定める米の量は、1Lにつき40gです。それだけではお酢が作れないため、アルコールを加えて造るのが一般のお酢です。
対して「純米富士酢」は200g、「富士酢プレミアム」は320gもの米を使っています。