


「お金に替えられない価値を伝え、生産と消費を『信頼』でつなげる」ことを活動の土台としてきた大地を守る会は、おかげさまで今年の11月に創立50周年を迎えます。節目の年を記念し、特別なコラムをお届け。第1話となる今回は、「作る人」と「食べる人」をつなぎ広げるという思いに賛同いただき、設立当初からお付き合いを続けている生産者の方々に注目します。

(上)大地を守る会の原点となった江東区大島4丁目団地の青空市。
(下)生産者の畑を訪ね、消費者と生産者が率直な意見を交換する産地交流会も行いました。
野菜作りの原点は、土にあり。
北海道の金井さん
北海道で長年じゃがいもを栽培する金井 正さん(北海道江別市)は、目に見えず不明確な農薬の影響を「こわい」と感じて有機農業を始めたそうです。収穫された後の畑には時間をかけて栄養を戻し、土作りから手間をかけて多様な生き物が循環する畑を作り上げていきます。「農業はいのちを守る仕事」と生産者の誇りを大切にする温かみのある味は、生きる上での「食」の大切さを今に伝えてくれます。

金井 正さん(左)、修一さん(右)
洗わないお茶にこそ、安心を
静岡の樽井さん
故・樽井 孝蔵さん(静岡県根洗町)は、「飲む前に洗わないお茶だからこそ無農薬で作りたい」との思いを持って、他の畑から飛散する農薬の影響も受けない山の上に茶園を拓きました。除草剤を使わないで雑草をひたすら取っては土に還し、お茶を育てます。たくましく強い香りとやさしい口当たり、ほっと心和む清々しさ。息子の隆之さんに思いは引き継がれ、今も親しまれるお茶です。

二代目の樽井 隆之さん
この土地で、自分の農業を続ける。
福島中通りの福島わかば会
初代会長の故・佐藤 圓治さん(福島県福島市)は試行錯誤をしながら、有機・低農薬の農業に取り組みました。1人から始まった取り組みも、次第に仲間を増やしていきました。「ぼかし肥料」など独自の土作りと作物へのこだわりは、今も引き継がれています。果実の表面に白い粉が付いていて、農薬と勘違いされるからと市場で敬遠される「ブルームきゅうり」は、しゃきっとみずみずしい果肉と甘みが魅力です。

きゅうり農家・鈴木 正幸さん
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