元気なからだづくりは毎日の食事から
目に見えない病原体などが体内で悪さをするのを防ぐ力、これが「免疫力」です。
新型コロナウイルスのような、未知の病原体の流行に対して、私たちはどう対処していいか、とても不安な気持ちになりますが、まずは自分自身の食事の習慣から気を付けていきましょう。
からだづくりに大切なのは、毎日朝・昼・晩3回の規則正しくバランスのよい食事を心がけ、一日のリズムをとることです。何か特別な食品を食べたり、特定なものばかりを食べ続けたりする必要はないのです。それよりも、旬を意識して様々なものを食べる方がよいでしょう。そのうえで、頭に入れておきたいのは以下の3つのポイントです。
- [1] 野菜は1日350g食べましょう
- [2] 腸にやさしい食事を意識しましょう
- [3] フィトケミカルも意識しましょう
ポイント1野菜は1日350g食べましょう
350gの野菜をきっちり計量しなくても、緑黄色2対淡色野菜1の割合で、一汁二(または三)菜の献立の「副菜や添え物、汁もので野菜たっぷり」、と意識しましょう。
バランスのとれた献立を立てるのが苦手な場合、「色々な食材」「違う調理法」の組み合わせをするとよいでしょう。まず、メインになる主菜は肉、魚、卵、豆腐類から好きなものを好きな調理法で選びます。たとえば、メインが肉や魚のしょうが焼きのような「焼き物」なら、たっぷりのキャベツのせん切りと青菜のおひたしを。煮魚や肉豆腐のような「煮物」には、野菜炒めなどを副菜に添えれば、おいしくいただけます。
主菜と副菜がいっしょになった「豚汁」や「鍋物」「おかずサラダ」などもおすすめです。
ポイント2腸にやさしい食事を意識しましょう
免疫細胞のほとんどが腸内で作られている ことをご存知でしょうか。腸にやさしい食事の習慣をつくるには、栄養バランスから見直していくことが必要です。
食物繊維は、野菜であればれんこん、かぼちゃ、にんじん、ごぼう、とうもろこしやブロッコリなど。ひじきやわかめなどの海藻類。玄米や胚芽米、ライ麦パンなどの精製していない穀類やそば。りんごや柿などの果物に多く含まれています。そのほかに、発酵食品も健康維持に役立ちます。ヨーグルトやキムチ、納豆、みそ・醤油などの発酵食品は、どれか一つと決めず、好きなものを取り入れましょう。
ポイント3フィトケミカルも意識しましょう
最近では、個々の植物に含まれる栄養成分の研究が盛んに行われています。代表的なものとしてポリフェノールやカテキンなどの言葉を耳にされることも多いでしょう。こうした栄養素の総称をフィトケミカルと呼び、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維に続く「第7の栄養素」とも呼ばれています。
ねぎやしょうが、にんにく、ごまなどの、一度にたくさん食べられない野菜類にもフィトケミカルは豊富に含まれており、上手に調理に使えば、おいしさにもつながります。
何より、日々の食事の準備を楽しんで行うことも、元気なこころを維持するために必要だと思います。
宗像伸子(むなかた・のぶこ)
管理栄養士。東京家政学院大学客員教授。1940年東京都生まれ。東京家政学院短期大学、女子栄養短期大学専攻科を卒業後、病院の栄養部に勤務。
現在は病院や企業などの栄養コンサルタントを務め、食生活全般に対する実践的な指導にあたる。NHK「きょうの料理」「きょうの健康」に多数出演。